家を借りる時、その4~「現状有姿」と「原状回復」の話~
「現状有姿」と「原状回復」の四字熟語、これ普段の生活では、あまり聞きませんね。
でも、不動産賃貸借契約書に必ずといっていいほど出てくる大事な言葉です。
なので、家を借りる時には、事前にしっかり理解しておかないと後々余計なトラブルになりかねませんので要注意です。
まず、「現状有姿」とは、今ある状態そのまま、ということです。なので、「現状有姿」で家を借りるということは、家の中を見て、その時の状態をよくわかった上で借りることに承諾しました、ということになります。
つまり、家を借りた後になって、ここが壊れている、あれが気に入らないといっても手遅れです。だって、そのままで借りるって約束をしましたよね、って言われて終わりです。
ですから、家の中を内見した時に、もし何か気に入らないこと、気づいたことがあれば、借りる前にしっかり質問、確認をして、直してもらうとか、直してもらえないなら少し家賃を下げてもらうとか交渉をしないといけません。
とは言っても、ちょっと一度見ただけでは、わからないこと気づかないこともあります。実際に住んでみて設備を使ってみて初めてわかることもありますね。
なので、たいてい契約書には、もし何か不具合などが見つかれば、契約開始から一週間以内に貸し手(大家さん)に教えてくれれば直しますよ(逆に言うと、一週間過ぎたらダメですよ)、というよう内容が入っています。猶予期間があまり長くないのは、貸し手(大家さん)からしたも、あまりに時間が経って言われても困っちゃうのでこれくらいあれば普通は気づくだろうという期間になっているんですね。
だから、住み始めたらなるべく早くいろんな設備を使って、もし、何か不具合があったらとにかく早めに貸し手(大家さん)に言うことです。
契約で約束した期間に言わないと、それを承知して借りたってことになりかねません。
今時は、スマホで気になったところをスマホでどんどん写真をとって、たとえば、「賃貸物件借りた時」アルバムでもつくってそのままそこに撮りためておけさえすればいいんです。簡単ですね。万一トラブルがあって後から見直す時にも撮影した日にちと時間がわかりますから安心です。
次に、「原状回復」ですが、これは、借りた時の状態と同じ状態にして出て行くということです。
借りた時の状態とは、つまり、最初にその家に住み始めた日と同じように戻すということです。
ただし、これには、例えば、畳のこすれだとか、冷蔵庫を置いた部分の壁紙がくすんでくるとか、普通に暮らしていればだいたいそうなってしまうようなもの(経年劣化といいます)は、含まれません。
つまり、うっかり家の設備を汚してしまったり、壊してしまったりしたときにはしっかり弁償して元に戻さなければいけないということです。
例えば、家具を移動するときに、床のフローリングをギ―っと傷つけてしまったとか、何か物がぶつかって壁に穴が空いたとか、ドアが凹んでしまったとか。
もちろん、こうした借りているものを壊してしまったのだから、それを弁償するのは当たり前のことなんですが、ここで気を付けなければならないのは、本当は自分が住んでいる間の汚れや破損でないのに、出て行くときに自分に請求されることがあるかもしれないということです。
これは、住み始めた時には、その汚れや破損があったことには誰も気づかず、出て行くときになって、貸し手(大家さん)に指摘されて請求されてしまう場合です。
もちろん、こうしたことがないように、前の住人が出て行く時に、貸し手(大家さん)はしっかりと立ち会って中を確認しているので、基本的にはないとは思いますが、相手も人間ですから見過ごしてしまうことはあり得ます。
つまり、借り手(あなた)としても、貸し手(大家さん)任せにせず、家を借りる時、何か汚れていないか、壊れていないか、しっかり確認しておくことが大切なんです。
そうしないと、余計なトラブルや支出が発生することになりかねません。
まずは、住む前に家を見た時にしっかり確認、そして、住み始めにもしっかり確認し、(スマホなど画像で)記録しておくこと。
出て行くときにトラブルにならないためにとても大切なことです。